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<vol.1>ポップ・カルチャーが好き!第1回『セックス・エデュケーション』

わたしたちのいちばん身近な音楽、映画、ドラマ、漫画、雑誌、などなど…ポップ・カルチャーたちの「アツ!」と思ったところ、「これってどうなの?!」と思ったところを紹介していくよ!(ネタバレもたまにあるからごめんね)

あなたからの「これ、やばかったからチェックして!」も待ってますよ〜!

 

第1回『セックス・エデュケーション』(Sex Education, シーズン1/2, 2019~)Netflix

 

わたしの周りでけっこう話題だったので自粛期間中にガーッと見たんだけど

大大大大大名作だった。

なんでもっとはやく見てなかったんだろ!

 

セックスセラピストの母を持ちながらも性の経験がないオーティスが、その豊富な知識を使って高校で「セックス相談クリニック」をはじめる、という、なかなかオープンなテーマだけど、だからこそめっちゃ良かったのかも。

 

コメディ色が強くて、毎回の冒頭のタイトルコールや登場人物のファッション・お部屋がとってもイカしてる!

そんなよくあるティーンドラマかと思いきや

 

家父長制のもとでの結婚、性別の男女二分化、異性愛前提のロマンスにあくまでも自然に、間接的に、疑問を投げかけていて

 

自分がストレート(異性愛)認識でも次に魅力的に感じるのが異性だと限らないことや、

多人種、ビーガン、いわゆる「ちょっとフリークな子」、貧富の差、ドラッグ中毒、などなど

 

その他マイノリティと呼ばれる存在もろもろ全部を取り込んでいる。マイノリティに不寛容なマジョリティ側の人間も描いている。

そしてそれが意識的だとしても意識的に見えず、「多様性描いてますよ!」みたいな、押し付けに感じない。

 

たとえばレズビアンやゲイのカップルが異性愛カップルと同じくらい当たり前に登場したり、(物語の主要キャラだけじゃなくて、学校の廊下でふと映る学生A、Bみたいな人たちも、そのように描かれてたりするの。)

父親と母親、ではなくて、母が二人いる家庭を描いていたり。

 

そういうドラマって日本だったら、いわゆる「LGBTもの」みたいなジャンル分けをされたりするけど、

このドラマでは、「学園ドラマ」という大枠の中でこの全てが起こってる感じが、すごいなと思う。

 

なにより、ストーリーが超おもしろいし

勢いが止まらず、すぐに見終わってしまった!

 

(ここからちょっとネタバレ注意)

わたしが一番グッときたシーン。

 

ちょっとおバカキャラのエイミーが通学バスで痴漢に遭ってしまう。(シーズン2、3話)

 

エイミーがバスの中で「痴漢!」って声をあげた時の他の乗客のけげんそうな顔や

友達に「届出しないと」と連れて行ってもらった警察での痴漢事件の対応 など

そこまでの描写もとても良かったんだけど 

 

エイミーが家に帰ったあとで、自分の部屋で泣き始めるシーンが本当に本当に素晴らしかった。

 

エイミーみたいな性格であっけらかんとして、「いや全然大丈夫!」って言う子だって

「痴漢された」って表立っては言わない子だって

実は怖い思いをしている女性がいるんだよな、ということを感じさせるシーンだったと思う。

 

そしてその後の回、トラウマでバスに乗れなくなっちゃったエイミーと一緒に女友達みんなでバスに乗って登校するシーンは、あ~~~~最高すぎる~~と、涙なしには見れませんでした。”We’re all getting the bus.” シスターフッド!元気出ました。

 

こんな風に、どのシーンからも少しずつ考えるきっかけがあるドラマなんだ〜。

(たとえば、アジア系の出演者はまだまだ少ないのだな〜とかも思ったり。舞台であるイギリスのこの地域にアジア系があまりいないから登場させていないのか、それともそもそもイギリスにアジア系の俳優が少ないのかはわからないけどね!)

 

タイトルの邦訳は「性教育」だけど、まさに!

保健の教科書以上の教科書だし、おもしろいし、全人類見て!!!!!と思った作品でした(特に、日本で育った日本人にみてほしいですな)

 

シーズン3も制作中とのことで、待ちきれないよ〜!