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<vol.2>紅白歌合戦-「伝統」をどうアップデートする?

晦日の風物詩、「紅白歌合戦」。2020年はなんと71回目の開催だったそう!私は何年もちゃんと見ていなかったんだけど、時代が進むにつれて、番組をめぐっておもしろい現象がたくさん起きていたみたい。

 

去年「香水」が大ヒットした瑛人さん(1997生)や、キンプリの岸優太さん(1995生)は紅白が女性と男性で分かれていることを、出演するまで、または出演している時ですら知らなかったそう。[1](二人とも私とほぼ同年代!)

 

そんな彼らに対する周りの反応は「(男なんだから)紅組なわけねえじゃん」とか「ヤバい」とか、「知らない=おかしい」と決めつけているみたい。

 

でも、二人の発言は「私たちが当たり前と思っているものを疑うきっかけ」とも捉えられるよね。

実際、チーム分けについて「時代錯誤的じゃない?」という声が視聴者から多く上がっているみたい!

 

2019年に行われたアンケート調査で「男女対抗を続けるべきだと思わない」と答えたのは全体の42.8%。[2]過半数以下とはいえ、多くの人が「女性と男性」でチームを分けることに疑問を持っている。(「続けるべき」と答えた人の理由も面白いので、ぜひアンケートを見てみて!)

 

しかも、視聴者だけではないんだよね。

2018年の紅白では、星野源さん扮する「おげんさん」が「紅組も白組も性別関係なく、混合チームでいけばいいと思う」とコメントしていたのが印象的![3]

 

そして、これをパフォーマンスで表現していたのが氷川きよしさん。氷川さんは21年間白組として出場されているけれど、一昨年と去年に出演したときの「紅白=女性と男性」の前提に疑問を投げかけるかのような、「女/男らしい」という型にはまらない豪華な衣装がとても話題になっていたね~。[4]

 

じゃあ、なんで女性と男性でチームを分けるんだろう?

音楽ブロガーのむらたかもめさんは、紅白歌合戦を「女性と男性が平等に競える場所」として、その理由について書いている。

放送が始まった1951年は戦後6年、今と比べれば「ジェンダー平等」という言葉からははるかに遠い時代だっただろうけど、女性に参政権が認められたり(1945年。男性のみの普通選挙実施は1925年。)、日本国憲法で女性に男性と同等の権利が保障されたり(1946年公布、47年施行)、「男性優位的な価値観」を徐々にアップデートする、新しい流れにあったと言える。

 

そんな中スタートした紅白歌合戦について、むらたさんは「性別も世代も関係なく平等に競える場[……]男女別に分けてチームにして競わせることによって、男女が平等であるということが自然と国民に理解されていた部分もあったのかもしれない。」と述べる[5]。

 

なるほど、「女性と男性」に分けることでその平等を推し進めるという、時代の価値観が反映されたものだとも考えられるのか~。

 

「女性と男性でチームを分ける」ことのように、「誰かを決まったカテゴリーで分類する」こと自体が問題視されつつあるのは、昔よりはジェンダー平等が推し進められ、女性の活躍の場が増え続けている現代だからこそ、なのかも!

 

こんな風に、型があるからこそできることもあるし、型にはまらないからこそできることもある。

 

「伝統」と「変わり続ける価値観」をどうしたらうまく共生させられるか、というのは、紅白のみならず身近ないろんな場所で考えなければならないこと。

 

その「型」でうまくやってこれた、でももしかしたら、見えづらいところで誰かがもどかしい思いをしていたんじゃないかな?そういう「想像力」が、全員に求められているのかもね~。

 

 

[1] Twitter @gaylife_info 「瑛人が『紅白歌合戦の組分けのルールを知らなかった』てエピソード話してたんだけど、そもそも男女に分かれて競うってことに違和感がある世代なんだと思うし、そのルールを知らないことを『天然』だって切り捨てる、こういうやりとりが古臭い(ってことに気付かない)んだよなぁ~って思ってテレビ消した」(2020年12月30日)https://twitter.com/gaylife_info/status/1344482733142118405?s=20

 ; cyzo woman「King&Prince・岸優太、『紅白歌合戦』が「男女に分かれると最近知った」!? 「普通にヤバい」とメンバー驚がく」(2020年12月30日)

https://www.cyzowoman.com/2020/12/post_316010_1.html

[2] 女性自身「紅白 男女対抗やめるべき4割…放送70年、視聴者意識に変化」(2019年12月19日)https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/1811887/

[3]HUFFPOST「星野源が演じる“おげんさん“が紅白に苦言?『性別関係なく、混合チームでいけばいいと思う』」(2018年12月31日)

https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/31/hoshinogen-ogensan_a_23630496/

[4] ORICON MUSIC「【紅白】氷川きよし、短時間で衣装3変化で最後飛ぶ 白→赤→金…黒網タイツ姿でも熱唱」(2020年12月31日)https://www.oricon.co.jp/news/2180842/full/

[5]おとにっち「紅白歌合戦を男女別で競わせることには意味があると思う」(2021年1月4日)https://www.ongakunojouhou.com/entry/2021/01/04/174650